平成のおっさん@エンジニア

平成生まれのおっさんの成長記です。岡山で機械設計やってます。

セーフティアセッサ合格の道-5

前回の記事に書きました本質的安全設計、安全防護と付加保護方策、使用上の注意ですが、
2番目の安全防護と付加保護方策でもっとも一般的に実施されている方策であるガードについて書きます。

安全防護と付加保護方策で求めらていることは停止隔離です。
要するに危険源と人(作業者)を隔離してしまえば、危険源に触れることがないので安全ですし、
動いている危険源を停止させてしまえば安全側という考えです。

ガードの定義はISO14120に定義されており、保護するために機械の一部として設計された物理的なバリアです。
扇風機の羽根カバーなどが該当します。

下記表はガードの分類と説明を示しています。
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固定式ガードの囲いガードはコンベヤ装置のスプロケットカバーなどが該当します。(ママチャリのチェーンカバーもそうですね)
他に距離ガードは設備の安全柵をイメージしていただければ良いと思います。

可動式ガードは旋盤の扉などが該当し、多くはインターロック装置を有しています。
他にロボットの安全柵は柵内に進入するために可動式ガードを採用しており、
施錠式のインターロック装置を有しているパターンが多いです。

ガードにはたくさんの要求があり、ここに書き出すのは大変なので一部紹介します。
①安全距離:危険区域への接近を防止することを意図したガードは、人体が危険区域に到達することを防止するように設計、製作、設置のこと
→固定ガードが当てはまりやすく、ガードの高さが低いために上から手が入るやメッシュサイズが大きすぎてメッシュから腕が入るなどです。

②剛性、耐久性:材料は堅牢で安定性をもった構造を備え変形に耐えること。機械の寿命期間中は目的機能(安全確保)を遂行し、劣化すると予見された部品は交換可能な設計なこと。
→ガードが人の接触で簡単に変形するようでは危険ですし、熱等で本来の強度を確保できないなどはNGです。

③人間工学的側面:人間工学原則を考慮してガードは設計・製作すること
→扉が必要以上に重く開閉するたびに疲れるや、取っ手の場所が悪く開閉するたびに無理な姿勢になるなどです。

④鋭利な端部:ガードには露出した鋭利な端部や角部など他の危険な突起を生じないこと
→ガードにより人がケガすること(ガードが危険源になってしまうこと)を禁じています。加工バリや溶接など意外に見落としがちです。

⑤よじ登り:可能な限りガードによじ登ることを設計によって阻止すること。
→高層マンションのベランダの柵に水平方向の梁がないことをイメージして頂ければわかりやすいと思います。

この様にガードには沢山の種類と要求があります。
どのガードを採用するのが良いかは、やはりリスクアセスメントを実施することで見えてきます。
やみくもにガードを設置するのではなく、機能を把握してベストなガード設計をできればと思います。