工業材料より材料試験法について説明します。
①引張試験
円形または長方形断面の平行部を持つ試験片に引張力を加えて強度や延性を調べる試験法です。その関係は下記の様な応力ーひずみ線図で示すことができます。
材料は通常、比例限度内で使用されます。弾性限度内での使用であれば、応力を加えない状態にするとひずみも戻ります。この範囲を弾性変形と言います。
この状態を過ぎるとひずみは急激に増え、応力を加えない状態に戻してもひずみは残ります。これを永久ひずみと呼び、この範囲の変形を塑性変形と呼びます。
最大応力での点を引張強さと呼び、この点を超えると材料は耐えることができなくなり破断(破壊)に至ります。
②疲労試験
材料は繰り返し荷重を長時間受けると、引張強さよりも小さな値で破壊に至ることがあります。これを疲労破壊といい、材料の疲労特性を求める試験を指します。世の中の破壊は疲労破壊によるものの方が多いと言われています。
材料に応力振幅を与えて、破断まで繰り返されるときの結果を縦軸に応力振幅、横軸に破断までの繰り返し数を取って関係を表した図をS-N曲線と呼びます。
③非破壊検査
材料の欠陥を調べるときに、材料を破壊することなく内部の欠陥や表面の欠陥を検査する方法です。
3-1:蛍光浸透探傷法
蛍光性の浸透液を材料に塗布して、表面の割れや巣などの欠陥部に染み込ませます。その後現像液を塗布し、暗室で紫外線を照射して欠陥部からの発光を検出し、表面あるいは表面直下の検出に使われます。
3-2:染色浸透探傷法
3-1で使用した液の代わりに、赤色の浸透液を用いるもので操作は同じです。レッドチェックなどとも呼ばれ、表面あるいは表面直下の検出に使われます。
3-3:磁粉探傷法
材料が強力な磁界に置かれたときに、表面あるいは表面直下に欠陥があると磁力線が乱されます。これに磁粉を散布して欠陥を検出する方法で、表面あるいは表面直下の検出に使われます。
3-4:渦流探傷法
コイルに交流電流を流し材料に近づけると渦電流が流れます。しかし、欠陥がある渦電流に変化を生じます。この性質を利用したのが渦流探傷法です。磁性金属の表面や表層の割れやキズ、表面あるいは表面直下の欠陥の検出に使われます。
3-5:超音波探傷法
音波が弾性係数の異なる物質との境界で反射する性質を利用した探傷法です。内部の欠陥に対して有効な検査方法です。
3-6:放射線透過試験法
X線やガンマ線などの放射線を材料に照射する探傷法です。内部の欠陥に対して有効な検査方法です。
引張が応力-ひずみ線図、疲労がS-N曲線、探傷法による特徴はよく試験に出ていると思います。