今回はガードと共同するインターロックについて説明します。
目次
1、インターロック装置と再起度防止
インターロック装置は、特定の条件で危険な機械機能の運転を防ぐことを目的とした機械装置、電気装置またはその他の装置を指します。特定条件とは、機械安全では一般的にガードが閉じていない状態です。ガードは機械の危険源から人を隔離して安全確保していることが前提のため、ガードが閉じている=安全と認識します。つまり、ガードと機械の運転、停止は基本的に下記の関係性があります。
・ガードが開いている(完全に閉じていないも含む)場合は機械を停止させる。
機械の起動も出来てはいけない。
・ガードが完全に閉じていることによって機械の運転開始を許可する。
許可するだけで、原則的に起動してはならない。(再起動防止)
絵にするとこんな感じです。(エクセルで作ったので見にくいかな?)
2、インターロック装置の種類と分類
インターロック装置装置は以下に示す通り、4つのタイプに分類されます。
実物一例の写真を載せときます。
タイプ1:リミットスイッチ
タイプ2:電磁ロック
タイプ3:近接センサ
タイプ4:RFID安全センサ
コード化とは特定のインターロック装置だけを作動させるための特別なアクチュエータのことを指します。コード化の必要性ですが、悪戯や取り外し、バイパスなどインターロック装置本来の安全方策を無くしてしまう無効化に対応するためです。
例えばタイプ1とタイプ2を比較した時、タイプ1のリミットスイッチでは本来のアクチュエータ以外がセンサの作動部を押してセンサをONさせた場合も信号を出力します。分かり易く言えば、ガードが開いているのにセンサがONなので機械は安全と判断して、起動をかけることが出来てしまうのです。タイプ2の電磁ロックであれば、専用のアクチュエータが正しくセンサに刺さらないとONしませんので、タイプ1より安全です。
3、タイプ1を想定したインターロック作動モード
(1)単一のインターロック装置を用いた場合
タイプ1のインターロック装置を1個だけ使用してガードを開けて機械停止する場合は、アクチュエータと作動部間は直接作動動作でセンサの接点部は直接開路動作(NC接点)とします。絵を以下に示します。
直接開路動作(NC接点)にする理由は故障した時に安全側に作動する安全側故障となるからです。NC接点では常にバネの力で接点が接触しており、作動部がONした場合(アクチュエータによって力を受けた)に接点を直接剥がします。仮にバネが破損したら作動部の位置に関係なく常にOFFの状態になるため機械は起動できず安全です。接点が溶着しても、物理的に接点を剥がすのでセンサはOFF状態になるため機械は起動できず安全です。ただし、センサが正しく固定されており、アクチュエータ作動部の摩耗は考慮されておりません。
(2)2個のインターロック装置を用いた場合
2個使用する理由は冗長性と多様性で共通故障を回避できるためです。
代表的な故障例として①、②、③が想定できます。
①位置センサの作動部(絵ではローラ)またはアクチュエータ部の過度な摩耗
物理的に接触しているので摩耗は充分に考えられます。
②アクチュエータと位置センサ間の取付け位置ズレ
固定ボルトの緩みなどが主原因です。
③バネによる作動を不可能にするジャミング(妨害や目詰まりなど)
上記①、②、③が発生した場合の詳細を説明します。
①が発生
LS1は摩耗により接点が接触しませんのでOFFとなり安全側です。
一方LS2は接点ONを維持するので危険側故障です。結果的にLS1があることで安全が維持されます。
②が発生
LS1は位置ズレにより接点が接触することはありませんので常時OFFとなり安全側故障です。一方LS2接点は常時ONとなり、危険側故障です。結果的にLS1があることで安全が維持されます。
③が発生
LS1は接点がONのまま固定されることが想定されるため危険側故障です。
一方LS2はジャミングしても直接動作により強制的に接点を剥がすのでOFFとなり、そのまま維持されるので安全側故障です。結果的にLS2があることで安全が維持されます。
4、プチまとめ
長くなったのでここまでにします。
安全のためには色々なことを想定して、方策を実施しなくてはなりません。
安全って難しいですね。