工業材料より鉄系を中心に説明します。
①材料の物理的性質
1-1:熱膨張係数
材料は温度変化によって膨張もしくは収縮し、一般的には加熱されると膨張する。
熱膨張係数とは1K(ケルビン)当たりの温度変化に対する単位長さ当たりの変化量のことを指します。下記表に示す主な金属材料の熱膨張係数を見ると、アルミニウムの値が大きいことが分かる。
1-2:比重
比重とはある体積を占める物質の質量と、それと同体積の4℃における水の質量との差を言う。下記表に示す主な金属材料の比重を見ると、鉄の比重はアルミニウムの3倍である。
②材料記号
2-1:炭素鋼
鉄と炭素の合金である。
一般構造用炭素鋼:SS※※
機械構造用炭素鋼:S※※C
熱間圧延軟鉄鋼板:SPHC
冷間圧延軟鉄鋼板:SPCC
炭素工具鋼鋼材 :SK
ばね鋼鋼材 :SUP
機械構造用炭素鋼(S※※C)の※※には最低引張強さを示す数字が入る。例えばSS400であれば引張強さ400㎫を保証する。通常を熱処理をせずに使用し、溶接性も良く、様々な部品に使用される。
機械構造用炭素鋼(S※※C)の※※には炭素の含有量を示す数字が入る。例えばS45Cであればおよそ0.45%の炭素を含有する。熱処理をすることが基本で、熱処理を施すことで所望の特性を得ることを考慮して炭素量を選択する必要がある。
2-2:合金鋼
ニッケルクロム鋼 :SNC
ニッケルクロムモリブデン鋼 :SNCM
クロム鋼 :SCr
クロムモリブデン鋼(略:クロモリ):SCM
高速度工具鋼(略:ハイス) :SKH
合金工具鋼 :SKS
前述のS※※C材料に対して、ニッケル、クロム、マンガンなどを添加して引張強さ、粘り、耐衝撃性、焼き入れ性を向上させた材料。SC材に比べて、機械的性質の自由度が高い分、値段も高くなる。
2-3:鋳鉄
ねずみ鋳鉄 :FC※※
球状黒鉛鋳鉄 :FCD
黒心可鍛鋳鉄 :FCMB
パーライト可鍛鋳鉄:FCMP
ねずみ鋳鉄(FC※※)の※※には最低引張強さを示す数字が入る。例えばFC250であれば引張強さ250㎫を保証する。減衰性に優れ、工作機械のベッドなどに使用される。
ここの書いた内容は試験のための抜粋になります。
実際の設計現場では、部品に要求される強度、形状、コスト、作りやすさを考慮して選定すうる必要があります。何気なく材料を選定していると、無駄なお金をかけていることが大半なので注意が必要です。